地区一覧(C) あおば百景を探る会 |
老人ホームも育児園もある祥泉院「田園の憂鬱由縁の地」碑の前の三叉路を真っ直ぐ行き、谷本川(鶴見川)を渡って坂道を上ると右手に長谷山祥泉院が見える。曹洞宗で本山は福井の永平寺と鶴見区の総持寺である。寺の縁起によると、開山は藤沢市遠藤の法泉寺の二世和尚で、開基は北条家の家臣村田某天文年間(1532〜1557年)に一族の菩提寺として建てられた。 しかし、本尊の十一面観音は明治15年の民家の類焼で本堂とともに全焼したが、末寺の中鉄の浄光庵(旧秋光寺)が荒れるにつれ、関東霊場西国三十三体の観音像を入仏したとある。現在の山門も本堂も、文久2年(1862年)に建てられた渋谷区の長泉寺から昭和35年に移築したものという。昭和60年解体修理の折りに、16歳の聖徳太子の孝養像(寛永14年と刻む仏師の銘り)が発見されて、台湾より職人を呼び、太子生存の時代を模し聖徳太子堂が建てられている。古代にここ都筑郡より出発した防人とその妻の万葉の歌碑があり、その相聞の歌を味わうことができる。 なお、境内には福祉会館があり、また隣接して育児園も老人ホームも経営して、寺の財政の健全化を図っている。これは戦後は廃寺同然であった当寺を復興した経験から学んだものであろう。
(山本 文義)
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