地区一覧(C) あおば百景を探る会 |
開発に残る稲荷前古墳群の丘県立市が尾高校の正門側、黒須田川が谷本川に流れ込む辺りに木の繁る高台がある。稲荷前古墳群の丘である。4〜7世紀の前方後方墳1、前方後円墳2、円墳4、方墳3 計10基と横穴墓群3つ計9基(A群1、B群3、C群5)があり、墳丘下から弥生時代の住居跡と方形周溝墳2基が出土したが、開発で消失して、今は前方後方墳1基と方墳2基が残されているのみである。 保存されている前方後方墳(16号、全長38メートル)は4世紀のもので、関東地方としては一番古く珍しいもので、方墳2基とともに昭和48年に県の史跡に指定された。しかし、同じ4世紀代の前方後円墳(6号、全長32メートル)、5世紀初頭の前方後円墳(1号、全長46メートル)、6世紀末−7世紀前半の円墳(3号、全長20メートル)など種々の墳形があって「古墳の博物館」と呼ばれたが、宅地造成のため破壊された。 平成11年末、稲荷前古墳群に続く南の丘陵の開発で、縄文人と弥生人の住居跡並びに古墳群などが発掘された(寺下遺跡)が、調査後宅地造成のため取り壊された。稲荷前古墳群の下にあった弥生後期の集落群(住居跡11基、方形周溝墓2基)については、稲荷前古墳群の掲示には触れられていない。寺下遺跡については、今後の宅地造成の中の公園で是非とも標識を建ててもらいたい。
(山本 文義)
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