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鎌倉円覚寺の小さな末寺・南慶院

鎌倉円覚寺の小さな末寺・南慶院

 奈良から鴨志田への道の終わり近くの左側、谷本川を横切る常磐橋より青葉台への道と交差するバス停常磐橋より入った右手に、臨済宗北斗山南慶院がある。北条氏の家紋の三つ鱗が付いていて、鎌倉円覚寺の末寺ということが分かる。

 緑・青葉区連合仏教会編纂の「寺院名鑑」には「大本山円覚寺歴世の内、世代十七世大川道通禅師を開山とし、本尊は観世音、創建は歴応元年(1338年)」としか書いてない。誠に簡素である。

 地元出らしい名の大曽根住職にも会えず、印象で言うと、狭い庭の小さな寂れた寺である。痛んでいる木造の本堂に向かって左側に手洗所があり、その上に葡萄の棚が懸かっているが、ひと本の蔓は未だ成長しきっていない。傍の木苺は熟れて美味しそうであった。その隣に無縁仏の観音像が白く立っている。そして、山門近くの地蔵像の隣に、動物慰霊塔があって、ペットを飼う時流には乗っている感じはする。

Nankei-Zenin

 山門あたりより、寺全体を見渡すと、寺の横及び裏側の台地が段差のある墓所になっていて、墓石が目につく。全体として、臨済宗と言う古い仏教であり、田奈から鴨志田地域の古さの象徴でもあり、墓地で維持する葬式仏教の旧式の寺という印象である。

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 山門近くに、一際大きい「森政吉先生顕彰碑」が目についた。地元出身で日本撞球界の大先輩とある。ここ鴨志田の村から日本ビリヤート界の大先輩が出たというのであるから、村の誇りであろう。しかし、その顕彰碑も古くなり、紫陽花の季節も終わり、シクラメンの花も枯れていた。

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(文: 山本 文義, 写真: 山田 剛一)