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珍しい医薬神社と黄泉の園

医薬神社

 もえぎ野公園より市が尾に向かう道筋に柿の木台がある。みたけ台につづく同じ丘陵に(随所に遺跡があったようだ)あって、道の左に医薬神社、右に黄泉の園がある。神道の神社とその墓地である。医薬神社の呼称は珍しく、国内では他は秋田に一つあるようだ。

 医薬神社は、もとは旧大山道に沿った寺の境内に祀られた祠(ほこら)が、明治になって水戸より来た僧侶(水戸烈公の庶子)が、神仏分離(廃仏棄釈)の時代でもあり、僧侶から神主になって、寺を廃して神社としたもの。前の寺名は真言宗の医王山薬師院東光寺(安土桃山時代の創建という)だったので、それに因んで医薬神社と呼称したが、元は1尺5寸四方の小さな祠であった。それを昭和43年に3間余四方に造営したが、土地区画整理事業を機に社殿を180度転回して今の西向きにしたと4代目の神主は言う。

 往時の十数戸からなる和田村が開発で豊かになり、柿の木台となって、鳥居、狛犬、石灯籠、手水舎が寄付され、今日のような境内に整備された。青葉区の歴史の一端を見る思いがする。なお、ご祭神は医薬に関わりのある、大国主神と少彦名神である。

(文: 山本 文義, 写真: 宝田 国人)