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市ケ尾横穴古墓群とその史跡公園

市ケ尾横穴古墓群

 市が尾駅前通りを真っ直ぐゆくと、旧大山道にぶっつかる所に地蔵堂があり、裏側に市が尾小学校が見え、その隣接の森に市ケ尾横穴古墓群がある。昔禅当寺谷と言われたところで、周囲が開発されて面影を残すのはこの辺りのみである。昭和8年に所有者が発見し32年にA群12基、B群7基計19基の横穴古墓群の本格的な発掘、調査が行われた。一番古いのが6世紀後半で、その他は6世紀後半から7世紀後半のものと分かり、45年に県の史跡指定を受けたが、損傷が酷くなって来たので、今は全面的に入口がコンクリートで固められ、保存のため一部は入口が閉ざされている。近くにある稲荷前古墳群が首長層の墓であるのに対して、この横穴古墓群は農民有力者の墓と言われるが、両者の関係は明かでない。

 横穴古墓群の前は市ケ尾遺跡公園として周りに桜の木が植えられ、横穴古墳の丘陵の赤松やコナラなどの茂みと共に濃い緑の空間になっている。ここから朝の時間帯には丹沢山塊の上の富士の嶺が良く見える。また地蔵堂が沿って建つ旧大山街道を辿ると、「綿屋」という旧家屋を見て往時を偲び、更に川間橋に出て谷本川の堤を散策するのも楽しい。

市ケ尾横穴古墓群 パネル
(山本 文義)