あおば百景

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中世の荏田城址の森

 江田駅とあざみ野駅の間、沿線の東側に小高い森が見えるのが、荏田城址である。

 道路から約20メートルの高さで、孟宗竹や雑木林が茂るが、個人の所有地で入れない。城址は布川と赤田川がめぐり、二つの川は早淵川に合流するが、近くを旧大山道が通る要所にある。城は東側の本丸と西側の曲輪から構成され、大規模な空堀が確認されている。城主は源義経の忠臣江田源三広基(信濃国の出)と言う伝承もあるが、無関係のようだ。城の築城方法(二つの曲輪と空堀と土塁)から中世のもので、小田原に居を構えた後北条氏の支城であった小机城を守るその武士集団(小机衆)の出城の一つと見なされている。

 私有地で「立入り禁止」の表札があるので、246の向こう側にある小高い丘に立って荏田城址の森を眺め、中世の城郭に思いを馳せるしかない。史跡公園にしたいものである。

 旧荏田宿はこの丘の近くにあった。今もその名残の石灯籠が一つあり、また当時の道が残って歩けば沿道に旧宿場の町並みの面影を感じる。

(山本 文義)