あおば百景

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赤煉瓦の女子短期大学よりつづく桜の並木

桜の並木道

 あざみ野駅西口前の大通りを行くと、左手に煉瓦建てのカリタス女子短期大学がある。その四つ角を左折すると、そこから約800mつづく桜並木に入る。幹やその枝振りから、樹齢は40年以上と思われる。

 桜通りとも呼ばれ、ソメイヨシノの開花の頃は素晴らしい。ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交配種で、江戸期巣鴨染井村の植木職人の手になり、明治になって吉野桜と区別して命名され、今日では桜前線の開花にも使われている。

 桜の枝は両歩道から桜通りに広がり、正に桜のトンネルである。開花するとヒヨドリが鳴き交い、花を啄み散らかすのを見ながら歩いて行くと、左手に國學院大學グランドがあったが今はシニア住宅群が立ち並んでいる。このあたりもあざみ野遺跡(縄文早期・前期・中期、古墳後期、歴史時代)を壊したところで、赤田遺跡群や小黒遺跡にも近い。

 また歴史時代と言えば、近くに長者原遺跡、都筑郡の役所跡があったが、高速道の建設で破壊され、今は市立博物館で復元されている。律令時代の都筑郡の役所跡が青葉区にあったのだ。荏田猿田公園として残され標識のみが立っているのは残念なことである。このように古代を幻想しながら歩くと、いすずが丘地区に入るところで桜並木は終わる。

 それから先は、里桜、八重桜の並木に変わる。八重桜の並木は未だ小さく、開発が遅れたことを物語る。八重桜の開花はソメイヨシノより遅れるので、白い桜の後に紅いぼたん桜を楽しむことができる。

(文: 山本 文義, 写真: 宝田 国人)