あおば百景

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駅前に残る懐かしい茅葺き屋根の風景

茅葺き屋根

 あざみ野駅西口より眺めると右手に茅葺き屋根のある一画がある。駅の直ぐ前に懐かしい田舎家、竹林があるのは珍しい。駅前の街づくりに頑固に抵抗して、売り渡さなかった人物が想像される。駅前に家が立ち並び街になってみると、寧ろ心の憩い、癒しの風景になっているのではなかろうか。門の傍にある梅が咲くと茅葺き屋根が一層奥ゆかしい 茅葺き屋根二軒とも朽ちそうになっているが、門の左側を竹林が守り、右側は生け垣から高台の裏手にかけて梅が広がり、駅前のこの一画を田舎の風景にしている。

電車の車窓からも早咲きの一本の梅が見え、春の訪れを感じるが、満開時に梅林をめぐると目白の影も見える。この梅林は梅の実をとる梅畑でなく、宅地税を免れるような姿にも見れる。四月には竹林の竹の子が伸び立つが、これも食用にする気配には見えず、年々竹林は密集している。

 横浜市街地よりあざみ野駅に地下鉄がつながり、更に小田急線新百合が丘駅まで延伸する計画があるので、この駅前の茅葺き屋根の風景も先行き心配であるが、個人所有の限界がくれば、公有地の駅前公園として保存したいものである。

(山本 文義)